ひとまず読了

フロイト精神分析入門」懸田克躬訳、1966『世界の名著』所収。ISBN:4122000505
(リンクは中公文庫のもの)

二点ほど。

面白かった。確かにフロイトはすべてを性に還元してるように読めるところもあるけれど、そこは比較的オープンにしている。だからあれだけ批判されるのだと思う。批判されるのは論理がおかしいのと同時に、「隙」が必要なのだと感じた。分析(言い間違い、夢、精神分析)も面白いけど、個人的には感情転移に興味を持った。

あと、フロイトは「フロイトの世界」を持っていると思う。その中での論理は比較的単純で、言いかえればフロイトにいったん慣れてしまえば、読むのにそれほど苦労はしないと思う(苦労したけど)。ちなみにこの中でパラノイア統合失調症(本書では呼称が違うが、言葉が変わっていった敬意を考慮してこちらの言葉を使う。しかし、分裂病よりひどいよ、アレは)がわかんないところとして残されていたが、そのうちパラノイアラカンが最初の症例として研究し、後でスキゾ分析としてガタリが出てくるのはそれなりに必然性というか、進歩なのだろうか。同時に、「フロイトの世界」がより抽象的に、ただし内容は豊かなままで引き継がれていると言う印象を持った(だから難しいわけだ)。

次は中山元さんが訳している、ちくま学芸文庫
『自我論集』1996。ISBN:4480082492
『エロス論集』1997。ISBN:4480083456
でも読んでみようと思う。『夢判断』は二連続大作になり、ちょっと読めなさそうな予感。