檜垣立哉『食べることの哲学』(世界思想社、2018)

先日の休みに通読。今僕はベルクソンの本を(『意識に直接与えられたものについての試論』に続き『物質と記憶』)を読んでいるのだが、同じくらいいろいろなことに気づかされたり、考えさせられたりした読書だった*1。ということでこちらの本についてもいく…

西村ユミ+村上靖彦「現象学の看護論的展開」、『現代思想』2014年1月号所収。

こちらは、実は他の論文等目当てで買ったのだけれども、この対談は面白かった。特に現象学の創始者であるフッサールについて、「[村上さん]また、私自身がずっと考えていることは、現象学は逆に他者の経験についてしかできないのではないかということですフ…

松下圭一『ロック『市民政府論』を読む』、岩波現代文庫、2014。

まず、本書を読むときの注意点を。 もともとは1987年に出た本の文庫化であるのだが、当時は『市民政府論』が岩波文庫から出ていた(鵜飼信成訳)。現在はそのいわば前篇を含めて訳された『完訳 統治二論』(加藤節訳)に差し替えられており、『市民政府論』…

近藤和敬『数学的経験の哲学』― 一経験論者として ―

本書はカヴァイエスの「数学的経験」なる概念を導きの糸として、これまでの哲学、特に真理概念についての批評を行い、新たな哲学、真理を作り出そうとしている本である*1。本書はこれまで常識ともいえる哲学の概念群(の一部)がいかに近視眼的なものであっ…

眠りについて

眠ることに対する哲学的考察がないのは何故か。従来の考察は夢、不眠、そのようなもので代替しているに過ぎないのではないか。デカルトは夢が欺きの感覚を与えることを指摘したが、まだこのように暗に「眠りは理性的ではない」と主張するほうがましのように…

船頭多くして船が山に登っちゃったらそれはそれで面白い、という話。

「藤村くんねぇ やっぱりねぇ こんなテレビ見たことないぞ」 〜『水曜どうでしょう』2011年最新作 第五夜より〜 というわけで、『水曜どうでしょう』を観ているのだが、確かにこの番組は他の番組にはない*1面白さがあるように思う。では、その面白さは一体ど…

ロック続き

前回書いたときは、友人の言葉に引きずられているところがあった。それは「自然に真理が内在していること」は大きな変化ではあるが、決して断絶的にロックは書いていないということだ。正確には、断絶的に認識論的には転回したが、彼は神学的な序論を書くこ…

のっことりえこ

最近立て続けにNOKKOさんの出ている番組を視聴する(テレビドキュメンタリー/ラジオライブ)。ラジオのほうは弾き語りで「フレンズ」、「人魚」など。ちょっと声変わった?奥井亜紀っぽい声質というか、高音に少しゆらぎ入ってるような。でも、オリジナルの…

自然法と実定法(国家制度)

某友人が書いたブログ記事の一節より。それによれば、 自然に真理が内在すると考えるということは、認識論的にはかなり大きな変化を意味している。 ということらしいけど、大事なこととして、自然固有権(プロパティ)概念を創出した人物と、おそらくは結構…

あけまして

おめでとうございます。下(前回)の記事から1年か(他人事)。確か4月くらいに書評2本(『経験のための戦い』、『カントの人間学』)書こうかと思い、実際に書いたら書き終えた瞬間にパソコンがフリーズ。2週間の入院生活を余儀なくされたことがきっか…

断片2

自らが死ぬことから目を背けることで成り立つ、とする生への考え方に対する、生き急ぎとしての死、あくまで(死を忘れている、忘れさせるはずの)生に内在する死という考え方。前者は結局のところ死を無限遠点的なものとして、より徹底して死を忘れる仕方に…

散財

最近買ったもの。 『現代思想』フッサール特集号asin:4791712064、青土社、2009。 『男と女』asin:B001G6RB7W、2008。 『男と女2』asin:B002L48FZ0、2009。 1はフッサール特集か、というとそうでもないような(間文化論とか、精神分析とか。いや、フッサー…

パソコンを買い替える

そんなに負担かける用途はないんだけど、実際動かすとやっぱり速いです。 しかし前回買ったときの半額以下でこんな性能見せられると、技術の進歩というやつに驚く。

あけまして

おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

メモリという比喩

ここまで書いて思い出したことがあるんだけど、要するにこれって、柏端達也さんが『行為と出来事の存在論』asin:4326101172で書いていた「メモリを大量に必要とする」(まえがき)ってことなんじゃないだろうか。さらに思い出してみれば前述の内田樹さんは知…

ジャック・ラカン『テレヴィジオン』asin:4791751884

一度目だけは通したけど、全然わからなかったこの本。今回、最初の部分が、ちょっとだけわかったのでメモ*1。 通常自分が文章を書くときは、「わたしは…と考える/思う/信じる/知っている」という風に書いていくものである(と「考えていた」)が、どうも…

ネットで

いろいろ昔の作品を調べたりしているのだが、時々放送コードにひっかかるようなところがあって気になる。 (僕が気になってるのは『買物ブギ』、『チャージマン研!』、外国ではモンティ・パイソンなど)マンガなんかだったら手塚治虫さんとか藤子(F)不二雄…

弾幕系の次は干渉系?

ダライアスの最新作が出るそう。作曲もOGRさんらしいし、要注意ということで。 ファミ通の記事を読む限り、Gダライアスのレーザーシステムを踏襲してるのかな、とも見えたが、Gダライアスの時はレーザーを次々干渉させていくのが醍醐味だっただけに(という…

さっきの友人の話で思い出した

それぞれは全然住所、思想は違うが、年齢と大きい専攻が一緒である別々の友人がいるのだが(彼らどうしは友人ではない、と思う)、彼らに共通の話題としてあがったのが『よつばと!』と南方熊楠だった。この2つを押さえておくと某学問を志す人たちは話につ…

コンビニにて

「あずまんが大王 補習編」『ゲッサン』連載、をいまさらながら読む。『よつばと!』はあまり読んでないけど、それでもOSは『よつばと!』でソフトは『あずまんが大王』を走らせてみました、というような感じ。よく「キャラが勝手に動く」のがよいマンガの基…

ヴィレッジバンガードにて

いがらしみきお『ガンジョリ』asin:4091816657。 最後の話が特に面白い。人が発する何らかの感情のもとが、もし、怖さのもとに転化したら…。『ぼのぼの』とかだとそれが笑いだったりするんだけど。 『yaso夜想 ヴァンパイア』asin:4902916096。 巻頭インタビ…

所属しているMLで友人の一人がとりあえず、というかやっと、というか、とにかく成し遂げたことを知る。これからのこともあるのだけれど、やっぱりおめでとう、おつかれさまとここには書いておくことにする。

断片

シュッツによれば、現実は(宗教的、科学的、芸術的、…)多元的であり、その多元的な現実の中で至高の現実であるのが日常生活の世界である、とされる。確かに、日常世界において意味を持たなければ(普段の生活とつながっていなければ)どのような世界も(そ…

ドント&ノット

テレビをボーっと見てたら、CMにドント&ノットが出てた。これ、元ネタもう10年前なんだよなー。ロマン吉忠に続くフィーチャリング第2弾、とも言えるし。どうしてもキャラクターものが生き残っていくのは仕方ないけど、初代ミッドナイトクッキングをフィー…

最近読んだ本。 『職業としての政治・職業としての学問』asin:4822247228 学問論のところ。 『社会学の根本概念』asin:4003420969 昔にウェーバーの話で出てた客観性の問題について少し考える。この論文読んでても、どうも社会の複雑性を一刀両断する、とい…

今日、テレビをザッピングしていたら、西原理恵子さんが「エチカの泉」(だったっけ)に出ていた。雁治君おそらく初公開。しかし、NHKの時もそうだったけど、鴨志田さんのアル中についての話ばかりで、もっと西原さんの毒にせまってほしいような気もした。な…

『職業としての政治/職業としての学問』マックス・ウェーバー著、中山元訳、日経BP文庫asin:4822247228。 「政治」部分をざっと読む。前に「学問」を読んだときも思ったが、彼の中のニーチェに対する態度が真面目で面白い。信条倫理/責任倫理の考え方はお…

今更ですが

シューティングゲーム、いわゆる弾幕系さわりはじめました。面白いです。低速移動時に当たり判定が出たりとか、妙なところで徹底して実用的なシステムなのがちょっと笑えます(いや、たぶんこれまでの積み重ねなんだろうからあまり笑うと失礼なんだろうけど…

レヴィナスの考え方(『全体性と無限』を読んで)

レヴィナスの理論ではアノミー形殺人(日本でいうところの「死刑になりたかったから殺人」)を批判することができないように思われる。これは「顔を見ない」のではなく、顔を見ることが意味をなさないところにその問題がある。では、どうすればよいのか。 2…

樫村愛子『ラカン派社会学入門』、asin:4906388698。

77ページ。関連性理論(本文中ではレリヴァンス理論)はまったくの無意識的(無意図的)発言に対しては無力だということに関して。 大筋ではそのとおりだと思う。しかし、コミュニケーションとしての関連性理論を考えた場合、わざとらしい言葉使いに無意識の…