フロイト『エロス論集』、中山元訳、ちくま学芸文庫、1997。ISBN:4480083456

 読み終える。エディプス・コンプレックスの細部の仕上げ。もともと隙だらけのフロイトの理論だが、経験と思弁のバランスがアブなすぎて、読んでいるこっちがハラハラしてしまう。個人的にそれが一番出てきていて面白いのが「解剖学的な性差の心的な帰結」かな。ドゥルーズ=ガタリが『哲学とは何か』でカントの『判断力批判』を引き合いに出して「人間、死にかけ、ボケかけの理論が一番面白いで」(関西弁イントネーションで、ちなみに当然超意訳)理論を唱えているけれど、まさにそれ。何よりドゥルーズが「精神分析に関する提言」(四つと五つのバージョンがあったと思うけど、どっちかは忘れた)に書いてある、フロイトのもっともこっけいな例もこれには収録されている(まあどういった理論かはドゥルーズフロイトを読んでください。ちょっとここで書くにははずかしい…)。