読
先日の休みに通読。今僕はベルクソンの本を(『意識に直接与えられたものについての試論』に続き『物質と記憶』)を読んでいるのだが、同じくらいいろいろなことに気づかされたり、考えさせられたりした読書だった*1。ということでこちらの本についてもいく…
こちらは、実は他の論文等目当てで買ったのだけれども、この対談は面白かった。特に現象学の創始者であるフッサールについて、「[村上さん]また、私自身がずっと考えていることは、現象学は逆に他者の経験についてしかできないのではないかということですフ…
まず、本書を読むときの注意点を。 もともとは1987年に出た本の文庫化であるのだが、当時は『市民政府論』が岩波文庫から出ていた(鵜飼信成訳)。現在はそのいわば前篇を含めて訳された『完訳 統治二論』(加藤節訳)に差し替えられており、『市民政府論』…
本書はカヴァイエスの「数学的経験」なる概念を導きの糸として、これまでの哲学、特に真理概念についての批評を行い、新たな哲学、真理を作り出そうとしている本である*1。本書はこれまで常識ともいえる哲学の概念群(の一部)がいかに近視眼的なものであっ…
一度目だけは通したけど、全然わからなかったこの本。今回、最初の部分が、ちょっとだけわかったのでメモ*1。 通常自分が文章を書くときは、「わたしは…と考える/思う/信じる/知っている」という風に書いていくものである(と「考えていた」)が、どうも…
最近読んだ本。 『職業としての政治・職業としての学問』asin:4822247228 学問論のところ。 『社会学の根本概念』asin:4003420969 昔にウェーバーの話で出てた客観性の問題について少し考える。この論文読んでても、どうも社会の複雑性を一刀両断する、とい…
『職業としての政治/職業としての学問』マックス・ウェーバー著、中山元訳、日経BP文庫asin:4822247228。 「政治」部分をざっと読む。前に「学問」を読んだときも思ったが、彼の中のニーチェに対する態度が真面目で面白い。信条倫理/責任倫理の考え方はお…
77ページ。関連性理論(本文中ではレリヴァンス理論)はまったくの無意識的(無意図的)発言に対しては無力だということに関して。 大筋ではそのとおりだと思う。しかし、コミュニケーションとしての関連性理論を考えた場合、わざとらしい言葉使いに無意識の…
その勉強会用に 全体性と無限―外部性についての試論 (ポリロゴス叢書) を再読。難しい本なので何度読んでも新鮮な気持ちで読める(読んだことを忘れてる、ともいえるわけだが)。 純粋経験の哲学 (岩波文庫) これは別。『プラグマティズム』読んだときにも思…
いろいろ読んではいるけど、なかなか書き出せない。最近読んだ中で面白かったのが、 東京大学「80年代地下文化論」講義 (白夜ライブラリー002) で、これのおかげでYMOやラジカルカジベリビンバシステムが僕の中で一直線につながった。ただこれについて書こう…
まずはこの本がリーマンショック後の不景気の中で、相撲の八百長騒ぎがあり、ギャンブルによって身を持ち崩していく人たちのニュースにあふれかえっている、そんな中に出版されたことに驚く。(追記:とか書いてたら「厚生労働省」(p156)事務次官を狙った…
ここのところ読んだ本。 『経験と判断』フッサール著、長谷川宏訳、河出書房新社、1977。 『リアルのゆくえ』大塚英志+東浩紀著、講談社現代新書、2008。 『木田元の最終講義』木田元著、角川ソフィア文庫、2008。 『経験と判断』は面白かった。ランドグレ…
嘉門達夫さんの小説asin:4594055389。いい話。以前はモンティ・パイソン(特にエリック・アイドル)と嘉門さんは似ている、なんて書いたけどこういうのも悪くないよね、とか思って読む。しかし、『遺稿集』asin:4062145103に続き、小説が湿っぽい実話系に偏…
新田本がよかったのかちょっとハマリ中。 『イデーン1−1』asin:4622019167 「自然の空間性の現象学的起源に関する基礎研究」 『フッサール『幾何学の起源』講義』asin:4588008153 前者は通読中。第二章まで読めた(初!)。後者二つはよくわからないけど(…
「砂漠のスカラベ 中島らもの小説世界」 二点だけ。 一点目はドゥルーズのベーコン論(対談者の2人はフランス文学者でもある。多少フランス哲学をかじっていた僕にはここも嬉しい)を呼び水にして話す「身体」「肉体」「肉」の話。「身体」と訳されるcorpsは…
某本の某一節を読んで。 かつて自分がリアルに聞いたことが反復されてた。
上の二つ、それぞれそのときに読んでいた本 『心身の合一』asin:4480091149 『哲学個人授業』asin:4862380689
「差延」『哲学の余白』asin:4588007718所収。 一度雑誌掲載分で読んだことがあったけど、再読。まったく章や節がないため、読みきるにしても区切るにしても無理をする必要がある。これはまたどっか別のところで。本は買わないと決めていたにもかかわらずこ…
未完読なままなのもどうかと思ったので。というよりも、これ面白いです。『フッサール哲学における発生の問題』asin:4622073528よりもコンパクトにまとまっているし。コンパクトというのは、一つには対象にしている文献が後期作品および草稿を中心に絞ってい…
どれも短編だったので、たくさん読んだように見えないこともないけど。 『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』カント、中山元訳、光文社古典新訳文庫、2006。 読みやすいと思う。悟性を理性と訳してしまうことは最初こそ面食らったけれども、日本語の「…
週刊チャンピオンに短期連載中であった『殺戮姫』が先週終わった。『私は加護女』の後作品だったこともあって読んでたんだけど、ちょっと気になったことがあったので書いておく。それはもう最初っから短期連載にするつもりでしか書いてないようなプロットに…
ヘーゲル『精神現象学』をちまちまと読む。ヘーゲルの書き方はある意味とても雑で、きちんと腑分けしていれば(同じ言葉を何度も使うようなことをしなければ)いいのにと思うことが何度もある。この書き方で矛盾とか止揚とか書かれてもあまり説得力がないよ…
主人と召使(奴隷)の関係からストア主義、懐疑主義、不幸な意識のあたりを。よく論じられるところだけあって面白い。 しかし、ストア主義以降の話が中二病の分析にしか読めない。訳者は訳注で竹田青嗣さんを引いているけど、竹田さんの解釈だとそれぞれが平…
ジョージ・バークリ『人知原理論』、大槻春彦訳、岩波文庫、1958。asin:4003361814。 ちょっと読んでみたんだけど面白い。観念論といってもドイツ観念論的なものとは違い、むしろ現在の言語哲学のような感じを受ける。言語の濫用の話とか読むと感覚与件の話…
今日はメルロ=ポンティの『眼と精神』を読んだ。メルロ=ポンティは少し前にかじったことがあり、ある二次文献については読書会までやったことあるんだけど、今読み返すととても難しいことが今さらながらわかる。比喩や言い換えが多く、わかりやすそうでとっ…
『絵葉書』の中から。さっきのヘーゲルを思い出しながら。 私は、共通の言語の中で君の方向に向けて語るのも、したがって書き、意味するのも、恥ずかしいと感じる、あたかも(以下空白)(邦訳p16) 「君の方向に向けて語る」以上、「意味」してしまう。ラブ…
『フューチャリスト宣言』梅田望夫+茂木健一郎著、ちくま学芸文庫、2007。 ちょっとした時間ができたときに読み飛ばした本(それぞれの単著本ではちょっと時間が足りないと思ったので)。ドゥルーズの構造主義論文の最後引用しようと思ったけどあまりに安易…
連休中、実家にあったのを持って帰ってきたもの。何となく読み始めたのだが、面白かった。廣松さんの文体を「ハードコア」「ヘビメタ」と評したのは内田樹さんだったが、僕なりに言い直すとすれば非常に形式的に思えた。ひたすら問題を形式化し、計算してい…
カント『判断力批判』が読み終わらない。読んでないのだから当たり前、といえばそれまでなのだが、難しい。「天才の語調からは程遠い」「学校的方法」を『純粋理性批判』から採用して以来(カッシーラーの本からの孫引き)、その文体にいい加減飽きが来た。…
現象学と解釈学 (ちくま学芸文庫) 逃避的に二章まで。難解だけど流れについてはとてもわかりやすい。どうしても現象学はフッセリアーナか個々人の紹介が中心になることが多いだけにこういう現象学史的な本は面白いと思う。