訳語2(It uses four letter words,Twice!!)

こちらは『アンチ・オイディプス』の最初の文について。
「<それ>は排便し、愛撫する」(上巻p15)。
これはハードカバー版の訳者あとがき(p516)によると、英訳は”It shits and fucks.”であり、実は相当どぎつい言葉であることがわかる。いわゆる四文字言葉であり、ある意味で翻訳はこのきつい感じが失われている。ただ、僕もいろいろ訳語を考えてみたんだけど、そうするとこの「きつさ」を表現できる訳語というのが異性愛主義的であることがわかる。翻訳というのが難しいということがよくわかる。

なお、なぜこの文章にこだわったかというと、モンティ・パイソンのメンバーであるグレアム・チャップマンの葬儀にこれらの言葉が使われているからに他ならなかったりする(だから題名にむりやり”Twice”を入れた。マットレス。なお、余談ながら『モンティ・パイソン研究入門』という本にはドゥルーズの『意味の論理学』が参考文献として挙げられている)。グレアム・チャップマンは1989年に亡くなり、そこでジョン・クリーズが”fuck”で締めくくる弔辞を読んだ。つまり『アンチ・オイディプス』からは10年以上たっているが、そこでなお弔辞の席でその言葉を読むことが何かしらの意味を持っていたということは考えておいてもいいような気がする。