ヘーゲル『精神現象学』asin:489642039X

主人と召使(奴隷)の関係からストア主義、懐疑主義、不幸な意識のあたりを。よく論じられるところだけあって面白い。
しかし、ストア主義以降の話が中二病の分析にしか読めない。訳者は訳注で竹田青嗣さんを引いているけど、竹田さんの解釈だとそれぞれが平行しているようで、ヘーゲルが書きたかった精神の発達過程としての記述が薄れるような気がする。もっとも、ヘーゲルのこの一見リニアな時間観(による発達観)が正しいのかどうかはわからないけれど。さらにいえば、そんなリニアな時間観を通俗的と言いつつも評価しているハイデガーの問題もあるのでさらにややこしくなることではあるのだけれど。
あと、ところどころ訳注がマルクスの労働論と結びつけたいような意図が見え隠れする。