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最近は家でFMラジオを聴くことが少なくなり、主に休日中の運転中の車でというシチュエーションが多くなった。そうなると自然に山下達郎松任谷由実がそれぞれ担当している日曜昼のラジオを聞くことが多くなる。正直なところ二人のことをよく知っているわけではない(どうしてもジェネレーションギャップが出てくる)が、二人の話は聴いていて面白い(棚からひとつかみという言葉はここから借用している)。
松任谷由実さんの話で面白かったのは子どものころ舞踊などの習い事をさせられていた(けど、そのときのお師匠さんに「この子は向いていない」と言われ、あまり長くは続けなかったらしい)ので自分の中には「和」なところがある、と話していた部分。このことは昔「MJ」というテレビ番組の中で松任谷由実の発声には演歌の要素が見られると分析していたことを思い出させてくれたし、また松任谷由実さん自身がそういったことを自覚していたんだということがわかったのが僕にとって印象的だった。
山下達郎さんはその話す内容が面白いので聴いているので、僕のような人は本人の想定外のリスナーであるらしい(以前の放送中に話していた)。確かに僕にオールディーズとか言われてもわかんない。その話し口調はちょっと古風である(声質もあわさって、この人のラジオは高校時代の友人を思い出させる)が、ところどころに主張がはっきり見えてくるのがよい。自身が映画を見に行ったという身辺話を話していたら、リスナーの人から「それは面白くないから観に行かないほうがいい」というハガキが来たが、それを「面白いか面白くないかは自分で判断するからほっといてくれ」(大意)と言い、また自身の曲について「あの曲のあの部分は何でああいうコード進行なんですか」と質問され、「そんなもん自分の感覚で『こう』なんだからしょうがないじゃないか」(同じく大意)と答えていたのを聴いて、この人は自分の感覚を大事にする職人だと思ったことがある。『Quick Japan』とか読んでいる人は知っているかもしれないが、この番組ではかける曲について自分が持つ音源をリマスタリングしている。技術、芸術を大事にしている意味で本当の「アーティスト」と呼べるのかもしれない(その観点で行くと糸井五郎さんもアーティストなのか?)。
…しかしこう書いてみると本当に自分の年齢が疑われるな。もともと昔(って書くと上述の三人に失礼だが)の人の話を聞いたり読んだりするのが好きだったのもあるが(以前らもチチの魔界ツアーズを高校生のとき聴いていたとメールに書いて送ったら「…さん(僕のこと)はお若いんですね」と返事をもらったことがある)、ちょっと年齢不相応なことをしているのかもしれない。ただ、そういう異なった世代に通じるものがあるということ、そしてそれを理解できるというのは言葉(や歌やetc.)のある意味本質でもあるんだからすごく楽しいと思うのだけれど。