棚からひとつかみ(by山下達郎)した本から

本棚ないけど。

フッサールイデーン1−1』渡邊二郎訳、みすず書房、1980。ISBN:4622019167
所収の「あとがき」を読む。

唐突に(オレが開発した)現象学こそ哲学(の問題)を解決するものなんだとか、イデーンは今読むと不完全なところあるけど、大体のところは当たってるしとか(これも唐突だし、何よりその代替案となるべき説明は紙面の都合か省かれている!)、妙な自信にあふれている一方で、心理学だって現象学(的心理学)に学ぶところはあるはずだ(でも、現象学的心理学は哲学の段階としてはまだまだで、最終的には超越論的現象学によって問題は解決する)とか、哲学に本当の意味で悩んだことのあるやつならわかるだろ的な文章など、妙に寂しがりやな一面ものぞかせるフッサール。その独特の(寂しがり屋であり自信屋の)文章であることをのぞくとまあまあ面白いのも変な感じ。

西研さんの『哲学的思考』(ちくま学芸文庫版)ISBN:4480089373、これは弟子たちからの批判に対するいわば「反撃」モード時のものらしく(他には『ブリタニカ草稿』ISBN:4480088172)、その文脈に落としてみるとこの独特のテンションもわからないではない。だけどなあ…。