純粋理性批判

先験的弁証論(高峯一愚訳による)まで読む。それなりに感動する。まず一つはこの本が時間をかけてかかれたものだと言うことが実感できたということ。それは時間の積み重ねだけが持つことのできる力がある(同時にこれを3ヶ月で読んだ気になるのは無謀だということもわかった)。もう一つは彼より前にデカルトが目指していた「神様を信じられないバカには理屈で説明するしかないでしょうよ」(『省察』におけるソルボンヌ宛書簡より、超意訳)ということにおいて、はじめて納得がいったということ(つまり、ある種の必然性を感じることができたということ)。

一方で、超越論的な分野と経験的な分野との関係について考える余地があるように思われる。カントは読者にこの本以降どうしてほしいのかということを書いてはいるが、彼が考えている哲学はどっちなのか、よくわからない。おそらく両方やれということなのだろうけれども(そしてそれはカントは両方やっているからなのだろうけど)。