買い物

買った本。

これは友人のデビュー論文(以前校正していたのはこれだったりする)が掲載されたので。改めて読み直すと焦点が絞られている印象を受ける。あまり知られていない人について書くとき、焦点を絞ることは難しいと思うんだけど、本当にストイックに書いたんだと思う。

こちらはその友人がもともとすすめていたので(正確にはデビュー作の『生命理論』からだが、金額が高いのと難しそうだったので敬遠していた)購入。この人の話は以前聞いたことがあるが、それは面白く、またそれに近い語り口だったのでとっかかりとして読んでみようと思う。

どちらも一読はしているのだが、両方に共通して思ったのはカント哲学がよく出ているということだった。前者は数学論についてカントの議論がかなり入っているし、後者については「マテリアル」、「モノそれ自体」(p4)という考え方がカント的だ。何より両方とも超越的―超越論的ということを考えている。
そのうえで面白いのがどちらも道具のみカントのものを使いながら方向としてはカントと違う方向を向いている(と思われる)ということだ。カントは自分がどう認識するかということに重点をおいていたように思うんだけど、彼らはどのように自由、自律が獲得されるのかということについて考えているように思われる。
フロイトを読んだときにも思ったけど、カントも隙だらけなんだと思う。その隙の残し方が(もちろんそれは隙を見つけた人の功績であるんだけど)まったく違う考えにも引き継がれるように考えられている(書かれている)ことがもしかしたら彼らのすごいところなのかもしれない。