舞台裏

岡本真夜熱冷めず。以前からの持論「別れたいならそう言えばいいじゃない」と「サヨナラ」には連続性がある、ということも確かめたくなり
"Hello"asin:B00005GFGU
彼女の歌詞を聴いていると、生き生きした顔の描写がほとんどないことに気づく。広末涼子への提供曲「大スキ」(そういえば昔『幕張』でこの歌で妄想するシーンがあったことを思い出した)にしても運転中の横顔と自分の欲求対象としての顔が分かれているし、シングルでも出た「サヨナラ」では顔を見ないで別れを告げている描写がある。結果、傍目から見るとすごい独りよがりになっているように見える詞がある。
ただ、ここで気をつけなければいけないのは顔を見ないという選択肢が顔を見ているという経験のもと選択されており、「あえて」顔を見ない状態というのを作り出していることであると思う。顔を最初から見ないものとは違う。そこに何が出てくるのかというと、「あえて顔を見ず、それにより自分勝手な判断をしてしまう自分」というものに対する鋭い分析というか、共感を呼ぶ詞になっているということだと思う。「十七歳の天使」はまさにそういう歌で(古い歌だからネタバレしてもいいかもしれないけど、一応伏せながら書く)、正直、この詞のもとになっているシチュエーションは僕からすれば単なる弱虫な内容としか受け取れなかった。けれども、その弱さを共感させるように歌はなっていると思うし、その原因は表情を対象とするしかた(この歌の中でも一箇所この言葉が出てくるが、その向きはあまりに一方的だ)にあるのではないかと思う。