エロスとタナトス

エロスとは端的にいって「生き急がせる力」のことだ。同様にタナトスとは「死に急がせる力」のことだ。バタイユの『エロティシズム』の最初はそういうことを言っている。難しいのは、生き急ぐことは結果的に早い死をまねくことがありうるし、死が止まることであるのであればタナトスは延命的な相貌を身にまとうことがある。しかしこの二つは区別しなければならない。たとえそれが相貌として入れ替わることになろうとも、もしかしたらこの区別が必要のないものであるとわかったとしても、である。政治、戦争の話がグダグダ(愚だ愚だ?)になってしまうのはそこに一因があるような気がしてならない。もしくはこの二元論を撤廃した視点を死守することだ。生死をある意味、意味のないものにしてしまう世界の視点。