七尾藍佳『ホメコトバ』ISBN:4777101622

ここでもちょっと書いたけど、僕が朝聞いているラジオ6sence(そう言えばリップも6センスって言葉使ってたな「エブリデーは 点と線 つなぐ 6センス」(JOINTより))のパーソナリティである七尾藍佳さんのエッセイ本。対僕マーケティングはたぶんおそろしく簡単で「僕が暇そうな時間帯にラジオをかけて宣伝する」ことがおそらく僕にとって購買意欲を高められる方法といえる。

それはさておき、この本のいいところは「じしん」(自身/自信)と言ったものについてじしん(自信/自身、さっきと逆の言葉を当てるわけですね)を持てる本であるところにあると思う。七尾さん自身、自分の外見的に「イケてるように見える部分」(東大卒、マルチリンガル)と内面的な「イケてない部分」(ある種の日本の教育−就職システムからのドロップアウト)、それぞれに対してきちんと向き合えるということを書いている。自分のいいところはいいと言い、悪いところは悪いという、相手に対しても外面的ないいところに惑わされることなくいいところを探す、悪いところはちゃんと言う(これが表題にもなっているエッセイ「ホメコトバ」の中心テーマだと思う)、その難しさがどっちにもかたよらないことにあるということを、正確には「現実がそんなに偏っているわけないじゃない」と教えてくれること、それがこのエッセイ集のいいところだと思う。僕は東大も出てないし(法学から哲学への転部者は知り合いがいるけれど)、日本の教育−就職システムのある意味もっとも恩恵に与っている人生を歩んではいる(それでも七尾さんが一時期書いていた音楽著作権に興味のある一人だし)けれど、それを抱えた上で話すことのできる人柄を感じさせる。