コンビニにて

あずまんが大王 補習編」『ゲッサン』連載、をいまさらながら読む。『よつばと!』はあまり読んでないけど、それでもOSは『よつばと!』でソフトは『あずまんが大王』を走らせてみました、というような感じ。よく「キャラが勝手に動く」のがよいマンガの基準であると言えるんだけど、当然キャラクターもまたマンガの一部になる。その中で、よつばとOSにおいてはキャラクターが動くのにもかかわらず、キャラクターを含めたマンガという表現の「間」がまたキャラクターの動く余地を十分に残しており、だからキャラクターがよく動くようになっている。ちなみに、作者であるあずまきよひこさんは以下のように言っている(『あずまきよひこ.com』内、08/12/05の記述より)。

(『よつばと!』がアニメ化されてない理由についての言及)
で。えー、なんでよつばがアニメになってないかです。
一番大きいのは「よつばと!」をアニメにするのは、とても難しいってことです。
とりあえずアニメにする、ならできます。

例えば、よつばが綾瀬家に遊びに行くってシーン。
よつばがドアを開けて走っていって「こんにちはー」と言う。
カットをポンポンといくつか使って、数秒で終わりそうなシーンです。
それでいいなら出来そう。

でも、「よつばと!」なら、よつばがよいしょよいしょっと階段をおりてきて、てけてけと廊下を歩き、
でんっと玄関に座ってヘタクソに靴を履き、よっこらしょっと重い玄関のドアを開けて、元気よく家を出て行く。
そういう、普通アニメでカットされそうな描写もやらないと、アニメにする意味が無いと思うんです。
で、こういう日常の演技描写はアニメの最も苦手とする分野です。

(余談ながら、僕の友人の一人は、『よつばと!』をアニメ化するなら、よつばだけ実写でないといけない、みたいな話をしていたことがあるが、上記のことを考えるとより腑に落ちる)

比較すれば、かつてのあずまんが大王では、まだキャラクターがマンガという表現とは独立に動いているような印象を受けてしまう。

このOSの中で、もともと親近性が深い大阪がよく動いているのは自然なことのように思われる。大阪は一人で間を支配するようなキャラクターだったが、今回はその支配権をマンガに託しているだけでよいのだから(この意味で、よつばが間を支配している、というよりは十分に間が書かれたマンガの中で動いているだけ、という点で二人の行動パターンはだいぶ違うが、二人の属する世界、というかOSは同じだ)。

ただ、この中ではツッコミ役がとても動きにくい。今回の第1回目ではそれがかなり露骨に出てしまっているような気がする。しかしこれは1回目しか見てないわけで、これからの連載でどうなるのかが興味深い。